1. [誤り]大脳運動野の障害では上位運動ニューロン障害として痙性麻痺・腱反射亢進・病的反射を呈する。
易疲労性や日内変動はみられず、通常は片側性の症状となる。本症例の病態とは合致しない。
2. [誤り]脊髄前角の障害では下位運動ニューロン症状として筋萎縮・線維束性攣縮・腱反射低下・弛緩性麻痺を呈する。
代表疾患は筋萎縮性側索硬化症やポリオであり、日内変動は示さない。
3. [正解]重症筋無力症は神経筋接合部の後シナプス膜にあるアセチルコリン受容体に対する自己抗体(抗AChR抗体)によって、アセチルコリンによる神経筋伝達が障害される自己免疫疾患である。
筋活動を繰り返すとアセチルコリンの放出が減少し伝達障害が顕在化するため、夕方に症状が増悪し、休息後の朝には軽快するという日内変動を示す。
胸腺異常(胸腺腫・胸腺過形成)が約半数にみられることも重要な特徴である。
4. [誤り]骨格筋線維自体の障害では進行性筋ジストロフィーのような遺伝性の進行性筋力低下を呈する。
CK(クレアチニンキナーゼ)の著明な上昇がみられるが、日内変動は示さない。
| 障害部位 | 代表疾患 | 主な症状 | 日内変動 |
|:---|:---|:---|:---|
| 大脳運動野 | 脳血管障害 | 痙性麻痺・腱反射亢進 | なし |
| 脊髄前角 | ALS・ポリオ | 筋萎縮・線維束性攣縮 | なし |
| 神経筋接合部 | 重症筋無力症 | 易疲労性・眼瞼下垂 | あり(夕方増悪) |
| 骨格筋線維 | 筋ジストロフィー | 進行性筋力低下 | なし |
<p style="font-size:0.8em; color:#888; text-align:center; margin-top:0.3em;">表: 運動系障害の部位別特徴</p>