1. [誤り]ウイルス感染は1型糖尿病発症の引き金(誘因)となることがある。コクサッキーウイルスB群、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、サイトメガロウイルスなどの感染が、遺伝的素因を持つ個体において膵β細胞に対する自己免疫反応を惹起し、β細胞破壊につながると考えられている。ウイルス感染単独では発症せず、遺伝的素因との相互作用が重要である。
2. [誤り]遺伝的素因は1型糖尿病の発症に重要な役割を果たす。HLA(ヒト白血球抗原)のDR3、DR4、DQ2、DQ8などの特定のハプロタイプが1型糖尿病の発症リスクを高める。ただし2型糖尿病と異なり家族集積性は弱く、一卵性双生児の一致率も約30~50%にとどまる。遺伝的素因に環境因子(ウイルス感染など)が加わって発症する。
3. [正解]妊娠は1型糖尿病の原因ではない。妊娠中は胎盤から分泌されるホルモン(ヒト胎盤性ラクトゲン、プロゲステロンなど)によりインスリン抵抗性が増大し、血糖値が上昇しやすくなる。これにより「妊娠糖尿病」が発症することはあるが、これは妊娠中の一時的な糖代謝異常であり、1型糖尿病(自己免疫による膵β細胞破壊)とは病態が全く異なる。
4. [誤り]自己免疫異常は1型糖尿病の本態である。膵β細胞に対する自己抗体(抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体、抗ZnT8抗体など)が産生され、T細胞による細胞性免疫反応が加わって膵β細胞が破壊される。その結果、インスリン分泌が絶対的に欠乏し、インスリン補充療法が必須となる。