第07章 代謝・栄養疾患 / A. 糖代謝異常
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Question
問題 538 Ⅰ型糖尿病の原因でないのはどれか。
  1. 1ウイルス感染不正解
  2. 2遺伝性素因不正解
  3. 3妊娠正解!
  4. 4自己免疫異常不正解
Explanation
解説
1. [誤り]ウイルス感染は1型糖尿病発症の引き金(誘因)となることがある。コクサッキーウイルスB群、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、サイトメガロウイルスなどの感染が、遺伝的素因を持つ個体において膵β細胞に対する自己免疫反応を惹起し、β細胞破壊につながると考えられている。ウイルス感染単独では発症せず、遺伝的素因との相互作用が重要である。
2. [誤り]遺伝的素因は1型糖尿病の発症に重要な役割を果たす。HLA(ヒト白血球抗原)のDR3、DR4、DQ2、DQ8などの特定のハプロタイプが1型糖尿病の発症リスクを高める。ただし2型糖尿病と異なり家族集積性は弱く、一卵性双生児の一致率も約30~50%にとどまる。遺伝的素因に環境因子(ウイルス感染など)が加わって発症する。
3. [正解]妊娠は1型糖尿病の原因ではない。妊娠中は胎盤から分泌されるホルモン(ヒト胎盤性ラクトゲン、プロゲステロンなど)によりインスリン抵抗性が増大し、血糖値が上昇しやすくなる。これにより「妊娠糖尿病」が発症することはあるが、これは妊娠中の一時的な糖代謝異常であり、1型糖尿病(自己免疫による膵β細胞破壊)とは病態が全く異なる。
4. [誤り]自己免疫異常は1型糖尿病の本態である。膵β細胞に対する自己抗体(抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体、抗ZnT8抗体など)が産生され、T細胞による細胞性免疫反応が加わって膵β細胞が破壊される。その結果、インスリン分泌が絶対的に欠乏し、インスリン補充療法が必須となる。
Key Points
ポイント
  • 1型糖尿病の発症機序:遺伝的素因(HLA関連)+環境因子(ウイルス感染など)→自己免疫反応→膵β細胞破壊→インスリン絶対的欠乏。
  • 妊娠糖尿病と1型糖尿病の違い:妊娠糖尿病は妊娠中のインスリン抵抗性増大による一時的な糖代謝異常(産後多くは正常化)、1型糖尿病は自己免疫による膵β細胞破壊(永続的なインスリン欠乏)。
  • 1型糖尿病の自己抗体:抗GAD抗体(最も頻度が高い)、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体など。診断の補助となる。
  • HLAとの関連:DR3、DR4、DQ2、DQ8陽性で発症リスク上昇。遺伝的素因の指標。
  • 重要用語:ウイルス感染、遺伝的素因、HLA、妊娠糖尿病、自己免疫異常、抗GAD抗体 を正確に理解しておくこと。
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