1. [正解]糖尿病性ケトアシドーシスによる昏睡では、呼気にアセトン臭(果実様の甘い臭い、リンゴの腐ったような臭い)がみられる。インスリンの絶対的欠乏により細胞は糖を利用できず、エネルギー源として脂肪分解が亢進する。その結果、ケトン体(アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸・アセトン)が産生される。アセトンは揮発性で肺から呼気中に排泄されるため、特徴的な臭いを発する。
2. [誤り]メープルシロップ臭はメープルシロップ尿症(楓糖尿症)という先天性代謝異常症でみられる。分岐鎖アミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン)の代謝酵素欠損により、これらのアミノ酸が尿中に蓄積し、尿や汗がメープルシロップ(カエデ糖蜜)のような甘い臭いを呈する。糖尿病とは全く別の疾患である。
3. [誤り]アルコール臭はアルコール摂取時や慢性アルコール中毒患者の呼気で認められる臭いであり、糖尿病とは関係ない。アルコールの代謝産物(アセトアルデヒドなど)が呼気から排泄されることによる。ただし、急性アルコール中毒と糖尿病性ケトアシドーシスの鑑別が必要な場合もある。
4. [誤り]アンモニア臭は肝性昏睡(肝性脳症)や尿毒症(腎不全)で認められる呼気の臭いである。肝性昏睡では肝臓での解毒機能が低下してアンモニアが蓄積し、尿毒症では腎臓での老廃物排泄が障害されて血中尿素窒素が上昇し、それらが呼気から排泄されて特有の臭いを発する。糖尿病性昏睡とは異なる病態である。