1. [正解]肝硬変では肝性脳症に伴い羽ばたき振戦(asterixis、flapping tremor)がみられる。肝機能低下により腸管で産生されたアンモニアを肝臓で尿素に変換できず、高アンモニア血症となる。アンモニアなどの有毒物質が中枢神経系に作用し、意識障害や羽ばたき振戦を引き起こす。両手を前方に伸展させた際に手指が不規則に屈伸する特徴的な振戦である。
2. [誤り]胆嚢ポリープは通常無症状であり、筋性防御を伴わない。筋性防御(腹壁筋の板状硬直)は急性腹膜炎の重要な身体所見であり、急性虫垂炎、消化管穿孔、急性胆嚢炎などの急性腹症で出現する。胆嚢ポリープは健診の腹部超音波検査で偶然発見されることが多い良性病変である。
3. [誤り]腹壁静脈怒張は慢性膵炎ではなく、肝硬変における門脈圧亢進症の特徴的所見である。門脈血流が肝臓を通過できず、側副血行路として腹壁の皮静脈(臍周囲静脈)が発達・拡張し、メドゥーサの頭(caput medusae)と呼ばれる特徴的な所見を呈する。慢性膵炎の症状は腹痛、脂肪便、糖尿病などである。
4. [誤り]グル音(腸蠕動音)消失は麻痺性イレウスや腹膜炎などの消化器疾患の所見であり、慢性糸球体腎炎の症状ではない。慢性糸球体腎炎の症状は蛋白尿、血尿、高血圧、腎機能障害、浮腫などである。尿毒症が進行すれば消化器症状(悪心・嘔吐・食欲不振)が出現することはある。