1. [誤り]クモ膜下出血は脳動脈瘤の破裂が原因の90%以上を占め、「ハンマーで後頭部を殴られたような」突然の激しい頭痛と嘔気・嘔吐が特徴である。本症例では頭痛・嘔吐がなく、片麻痺が主体であるため、クモ膜下出血は考えにくい。
2. [誤り]脳血栓は脳動脈のアテローム硬化部に血栓が形成されて閉塞するもので、症状は段階的に進行し、安静時(とくに睡眠中〜起床時)に発症することが多い。本症例のように活動中に突然発症する様式とは合致しにくい。
3. [正解]脳塞栓はもっとも急激な症状の発現を呈し、発症後数分で症状が完成する。本症例では発作性心房細動の既往があり、心房内で形成された血栓が剥離して脳血管を閉塞したと考えられる。心房細動は脳塞栓のもっとも重要な原因疾患であり、突然の片麻痺出現と頭痛・嘔吐の欠如は脳塞栓に合致する。急性期には出血性梗塞への移行に注意が必要である。
4. [誤り]一過性脳虚血発作(TIA)は24時間未満で症状が消失する短時間の局所脳機能障害であり、一般的に持続時間は2〜15分程度である。本症例のように持続する麻痺がある場合はTIAとは診断できない。