1. [誤り]心不全による浮腫は両側性に出現するのが特徴であり、片側の下腿腫脹と腓腹筋の把握痛という本症例の所見とは合致しない。心不全では呼吸困難や起座呼吸なども伴うが、本症例にはそれらの症状がない。
2. [誤り]急性腎不全では腎機能低下により体液貯留が起こり全身性の浮腫や乏尿が特徴的であるが、片側の下腿腫脹の原因としては考えにくい。また、長時間のフライト中に急に発症する経過とも合致しない。
3. [誤り]コンパートメント症候群は外傷や骨折後に筋区画内圧が上昇し、激しい痛みと知覚障害、筋の他動伸展時痛が出現する病態である。長時間フライト中に外傷なく自然発症することは稀であり、本症例の経過とは合致しない。
4. [正解]長時間の国際線フライト中に片側下腿の腫脹と腓腹筋の把握痛が出現していることから、深部静脈血栓症(DVT)が最も考えられる。いわゆるエコノミークラス症候群であり、長時間の同一姿勢での座位により下肢静脈がうっ滞し、血栓が形成される。ホーマンズ徴候(足関節背屈時の腓腹筋痛)も診断の参考となる重要な所見である。