1. [誤り]上大静脈症候群は上大静脈の圧迫・閉塞により生じる症候群で、顔面・上肢の浮腫、頸部静脈怒張、頭痛などが特徴である。食道癌が上大静脈を圧迫した場合にみられるが、眼瞼下垂・縮瞳とは異なる症状である。肺癌や縦隔腫瘍でも生じる。
2. [誤り]反回神経麻痺は食道癌が反回神経に浸潤して声帯が動かなくなる状態であり、嗄声(しわがれ声)が主症状である。眼瞼下垂・縮瞳の原因ではない。反回神経麻痺の出現は切除不能の進行癌を示唆する重要な所見である。
3. [誤り]顔面神経麻痺は第VII脳神経(顔面神経)の障害により表情筋の麻痺をきたす状態であり、ベル麻痺やラムゼイ・ハント症候群などで生じる。眼瞼下垂・縮瞳の原因ではなく、食道癌とは関連しない。
4. [正解]症例の右眼瞼下垂と縮瞳から、ホルネル症候群(Horner症候群)の合併が考えられる。ホルネル症候群は交感神経障害により生じる症候群で、3徴として縮瞳(瞳孔縮小)・眼瞼下垂・眼球陥凹(および顔面の発汗低下)がみられる。食道癌が縦隔内の交感神経に浸潤して発生する。パンコースト腫瘍(肺尖部癌)でもみられる。