1. [誤り]大脳皮質の障害はアルツハイマー型認知症や脳卒中でみられるが、本症例では認知症はなく、振戦・動作緩慢・仮面様顔貌・前傾姿勢というパーキンソン病の典型的症状を呈しているため、大脳皮質は主な障害部位ではない。
2. [誤り]視床は感覚情報の中継核であり、視床の障害では対側の感覚障害や視床痛がみられる。本症例の運動症状(振戦・無動・前傾姿勢)は視床障害では説明できない。
3. [誤り]小脳の障害では運動失調(企図振戦・測定障害・失調性歩行・構音障害)が出現する。小脳障害による企図振戦は目標物に手を近づけるほど増強するもので、パーキンソン病の安静時振戦とは性質が異なる。
4. [正解]本症例の症状(安静時振戦・動作緩慢=無動・仮面様顔貌・前傾姿勢)はパーキンソン病の四大症状に合致する。パーキンソン病は中脳黒質緻密層のメラニン含有細胞(ドパミン産生神経細胞)の変性・脱落が原因であり、残存細胞内にはレビー小体が出現する。黒質から線条体へのドパミン供給が減少し、基底核の運動統御機構が破綻して特有の錐体外路症状を呈する。